「空気嫁(読め)」とは


パソコンを手に入れて間もない頃,
チャットをしていて「チャットでの話し方に不自然さを感じる」と
言われたことがあるのですが,
具体的に何が不自然だったのか説明してもらわなかったため,
もはや誰にどんな状況で言われたのかも思い出せないにも関わらず,
メッセンジャーなどを立ち上げるときに,ふと思い出したりします.


当時はそれほどネット上のスラングが広まっていなかったころなので,
もしかすると,今で言うところの「空気嫁(読め)」みたいな
ニュアンスだったのかもしれないと思いました.


この「空気嫁(読め)」という言葉は,
意図的な変換ミス部分を除けば,リアルでも時々使われる言葉です.
『雰囲気を感じ取って,その場にふさわしい行動やリアクションをとれ』
・・・ぐらいの認識でいいかと思います.


しかしながら,ネット上ではこの「空気」とやらが
いささか掴みにくいというか,ある種のローカルルールを把握することも
求められている気がします.


◆放蕩オペラハウスさんで,
『オレ通 A to Z 』というコミックスについて
語っておられましたが,紹介記事の中でも取り上げられているように,
この作品中で主人公はBBSでの立ち振る舞いが原因で,
「自宅前でBBSの住人に襲撃される」というトラブルに見舞われます.


確かに原作本編を読むかぎり,
主人公は反感を買うような書き込みをしているのですが,
実際に殴られるシーンは実に衝撃的です.
作中の時代設定が,インターネットの普及前,
パソコン通信の時代であることから,
もしかすると今より個人の特定は容易だったのかもしれませんが,
私としては殴られことより掲示板だけのやり取りだった人が
突然目の前に現れるという事態に驚いた記憶があります.


『オレ通 A to Z 』では,残念ながらインターネット普及後の状況で
果たして彼らのコミュニケーションがどうなったかは描かれていないのですが,
今なら,割とテキトーに流される程度のやり取りのような気もするのです.
それこそスラングで言うところの「釣り」として扱われるんじゃないでしょうか.
主人公はもちろんのこと,殴りに来るほど激昂した住人も同レベルのはずです.
VIPPERあたりにはいい餌食となることでしょう.


この漫画を読んだ当時,私も同じような理由,
それこそ「チャットでの話し方に不自然さを感じる」として
襲撃されていてもおかしくなかったのだろうか,などと思いましたが,
今や小学生ですらインターネットを活用して情報を集め,
掲示板でやり取りをしているような今の状況では,
根拠もはっきりしない「不自然さ」程度じゃ「華麗にスルー」されておしまいでしょう.


私自身,昔と比べても,それほどチャットでの立ち振る舞いに
変化はないと思っているのですが,
今でも「不自然」といわれるかどうか,はたまた他の言葉に置き換わっているのか,
もはや確かめる術は無いとはいえ,気になるところではあります.