ビフ

dk07212005-06-21



15年ぶりぐらいに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見直しました。
名作が色あせないというのはまさしくそのとおりだと思う面白さで、
一緒に見ていた弟が


弟「当時映画館でこれを見ていた人は相当興奮しただろうなぁ」


・・・とつぶいやいたのが印象的でした。


幼い頃見たときのイメージや
ユニバーサルスタジオジャパンのイメージで
なんとなくデロリアンばかりが記憶に残っていたのですが、
実際はすぐにガス欠を起こすデロリアンはほとんど出番がなく、
面白さの基本はやはり魅力的な登場人物にあるのだと思いました。


主人公マーティや
相棒のドクはもちろんすばらしかったのですが
見直してみて、斬新だったのは敵役の「ビフ」。


自分勝手な言動が目立つ、
ガキ大将的なキャラクターで、
一言で言うなら「ジャイアン」です。


初めて見た当時は
まだまだドラえもんに心ときめかしていたころだったせいもあって、
「うわぁ、こんないじめっ子はいやだなぁ」
・・・という感想しか持ちえなかった記憶があります。


しかし、今見直して気づいたのは
最近の作品にはそういった理不尽な暴力や暴言を
平気でふるうようなキャラクターが
いつの間にか姿を消していたということでした。


今やそういった行動は
道徳的に、また情操教育的にまずいことだという主張が一般的であり、
それも確かに一理あるとは思います。
しかし、それによって子供が凶暴性を持たなくなったかというと
けっしてそうではなく、
むしろ歪んだ形で表面に現れるようになった印象があるのは
私だけではないでしょう。


ビフは結局最後に懲らしめられ、
物語はハッピーエンドへと向かいます。
理不尽な暴力や暴言を振るうものにはそれ相応の報いがあり、
正義は必ず勝つのです。


昔の映画はそれがシンプルに描かれていて
むしろそういう意味では
道徳的に、また情操教育的に
良い影響があるのではないのだろうかと思ってしまいます。


そういえば中学校時代こんなことを言っていた先生がいました。


『人生の中で一本でもいいから
本当にすばらしい映画と出会えたならそれはとても幸せなことです。
自分にとってはそれがこの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。』


当時はその言葉のニュアンスがよく分かりませんでしたが、
今の私はその先生の教えを受けた上で存在しているわけで、
だとすればその意味はとても大きなものだったと思えます。


デロリアンが手元にあったら、
もう一度その言葉を聴きにいってみたいものです。