「エンドユーザーが見ているのは質とコストのみ」


赤さんと流通がらみの話になったときに出てきた言葉で
赤さんはさらっと言ってましたが、
印象に残った言葉を取り上げたいと思います。


「エンドユーザーが見ているのは質とコストのみ」


私は経済学に詳しいわけでもなければ
赤さんのように社会学を学んできたわけでもないので
有名なこと、あるいは当たり前のことかどうかや、
出典元があるのかどうかもわかりません。


しかし、私が常々感じていた、
商業活動における究極的な部分を見事に言い表していたので感動しました。


近年、ITビジネスを初めとした新しい分野で
ベンチャー企業などの成功例などが注目されたり、
プロジェクトXの人気などもあったり、
サクセスストーリに触れる機会が増えました。


テレビ局や番組制作会社のうまさもあって、
成功を掴み取るまでの「過程」が実にドラマティックに描かれています。


しかし、逆にそういうものばかり見ていると、
なんとなく「過程」が大事のような気になってくるのは
気のせいでしょうか。


基本的にモノは完成しない限り評価の対象となりえないはずなのですが、
最近は「私たち、こんなに苦労してるんですよ!」ということを
得意げにさらし、それを評価してもらおうという人間が、
やたら増えてきた気がしてなりません。


仕事が辛いときに「いつかこのときの経験をネタにしてやろう!」と
自分たちを励ますとか、そういうのはかまわないのですが、
それはあくまで「いつか」とやらが訪れたときであって、
思いついてすぐそれを前面に押し出すのは
ただの恥さらしでしかないような気がするのです。


仮にモノが完成しなくても、
「ああ、結局ダメだったのね」と笑われるだけなので、
それを覚悟の上でやっていると考えれば、
リスクは小さいかもしれませんが、
私は「苦労してる自分たちに酔うヒマがあったら、
もっと何か出来たんじゃないだろうか」と考える性質なので、
どうしても「かっこ悪く」見えて仕方ありません。
そのへんは「有言実行」と「不言実行」のどちらが
自分にあっているかというあたりとも関係してくるので言及はさけます。


何かモノ作りをしていく上で、
進行状態を常に把握しておくことは大事だと思いますし、
それを心待ちにしていてくれる人がいるのなら、
なおさら知らせておくべきだとは思います。


ですが、彼らもまた「エンドユーザー」であり、
最終的に「見ているのは質とコストのみ」です。


私の日記の閲覧者に身内が多いことは繰り返し述べてきたことですが、
身内ばかりだからといってもそのへんはやはり意識しておくべきだと思っています。