リアルな高校野球漫画とは


実家にいた頃通っていた美容院で、
順番待ちしている間に少しだけ読み進めていた、
高校野球を題材にした漫画がありました。
タイトルが思い出せないのですが、
後述するエピソードでわかる方はわかるかもしれません。


どうやら全巻そろっていたようなのですが、
途中で読むのをやめてしまいました。
そのいきさつを書いてみます。


物語としては
弱小の野球部が強豪と呼ばれる学校の野球部を
何とかして打ち破っていくという、
よくあると言えばよくある話でした。


しかし、話数を重ねるにつれてなんだかイライラしてきました。


窮地のたびにメンバーの一人が類まれなる才能を発揮するとか、
才能はないけれど努力でカバーして乗り切るとか、
そういう展開は何度やろうとかまいません。


しかし、私が気に入らなかったのは、
だんだんやることが妙に現実的になっていったことでした。


「相手高校の選手データを頭に叩き込め」
そんな指示を監督が出したあたりから
私は読んでいてイライラしはじめました。


私は、相手校の分析は当然のことだと思ったものの、
それ以降に登場する敵高校が、
「こちらの選手データが頭に叩き込まれている」ことを
前提にして登場してくるようになったのが気に入りませんでした。


漫画の展開上仕方ないのかもしれませんが、
それ以降に出てくる高校は、
「こちらの選手データが頭に叩き込まれている」という理由で
いちいち弱点を突いてくるようになったのです。


例えば・・・
「バッターの苦手コースしか投げないピッチャー」


確かに作戦としてはありだと思いますし、
それを心がけている投手は現実にも多いことでしょうが、
”それしかやらない”上に、”まったくミスしない”としたらどうでしょうか?


もちろん”漫画の中ならしかたない”といえばそうなのですが、
困ったことに、トーナメントを勝ち進んでいくにしたがって、
「ここまで勝ち進んだ強豪校だから」という理由で
漫画ではそれらをすべて肯定していくようになっていきました。


「弱小で経験不足の野球部だから、お前たちは知らないだろうが」


毎回そんなあつかいです。


ようやく甲子園まで行ったかと思いきや、
全国レベルの『強豪高校』は
1塁に出たランナーにリードを取らせながら、
足場をスパイクで踏み荒らさせるという行動にでました。


『経験不足の野球部』にはそれがどういうことだかわかりません。
しかし、ファーストがエラーを記録してようやく気づきます。


「転がってきた内野ゴロの軌道を不規則にする狙いがあったんだ!」


「これが全国レベル・・・!」


私はこの時点で漫画を閉じて棚に戻しました。


魔球や超人的才能のキャラクターは一切出てこない、
リアルな漫画であることは
そこまで読んできて分かっていました。
いちいち理屈も通っていました。


だから、もしかすると野球に詳しい人からすると
とても興味深い内容になっていると思います。


・・・ですが、
それだけに・・・


それじゃあ甲子園で優勝するような野球部は
相当性格が悪いんじゃないだろうか
と思えてしまいます。


あの漫画では、
結局最後にどんな高校が優勝したんでしょうか。


・・・むしろ、主人公の高校が優勝するとして、
決勝の相手はどれほどまでにパーフェクトな
「経験豊富な強豪高校」だったのでしょうか。


いずれにせよ
実際の高校野球はもっと”さわやかなもの”であって欲しいです。