よい文章を書くには・・・


ノーベル賞作家の大江さんが、以前テレビに出演されていたとき、


「私の書く文章は、一度も推敲していない、最初のものが一番いいと妻がいう」


・・・と笑い話の一つに取り上げていましたが、
これを見ていて私は、
それは大江さんクラスの作家だからなのか、
(内容によっては)普通の人にも当てはまるのか、
気になった記憶があります。


今日、研究室で、たまたま原稿用紙についての話題が出たときに、
後輩の1人が、


「小学校の読書感想文の規定枚数3枚は、なかなか埋まらなかった記憶がある」


・・・と言っていて、思わず納得しました。
私もそのイメージが強いせいか、原稿用紙が嫌いです。
今でこそ大量の文章を書くことにほとんど抵抗がなくなった私ですが、
原稿用紙にするとテンポは格段に悪くなります。


”よい文章を書くには・・・”という類の本をいくつか読んだことがありますが、
「書きたいことをそのまま素直に伝えられるなら、それが最もよい文章です」
という一節が妙に印象に残っています。


大江さんは、きっとプロの作家ならではのテクニックも持っていることでしょうが、
それ以前に書きたいことを素直に伝えているのだとしたら、
奥さんの指摘は正しいことでしょう。


そして、原稿用紙のマスを埋めることが目的になっていた、
私や後輩の文章はきっとつまらないものだったはずです。


そもそも、小学校時代のそれは、
「何か課題図書を読んでその感想文を書く」
・・・というアプローチの時点で、何か間違っている気はします。


指定された本で、その内容がどれだけすばらしいかを書くというのは
それこそプロの仕事であって、
小学生に求めることじゃないでしょう。


書かされることによって見つかることもあるんでしょうけど、
そのほとんどは原稿用紙嫌いになるのが関の山ですよね。