ワンダフルライフ


実家に帰ったときに父と母が口論になったときがありました。


いったい何で言い争いをしているのかと思いきや


「トイレ芳香剤の置き場について」


・・・でした。
説明するようなことでもないのですが、
実家のトイレは白と黒が基調の内装で、
インテリアや小物好きな我が母は置物に関しても
白か黒で統一したいというこだわりがあるようで、
窓際にシマウマの木製人形が鎮座していたりします。


そんな母が気に入らなかったのが
「グリーンアップルの香り」芳香剤。
これが鮮やかな黄緑色で、容器のデザインもあいまって
トイレで非常に浮いているというのです。


そこで母は自慢の小物の中から、
アルミ製のミニバケツを用意してきて、
その中に芳香剤をおきました。
するとシルバーのボディに隠れて芳香剤の姿は見えません。
もちろんふたはしませんから香りだけがトイレに広がります。


私がなるほどと感心したのもつかの間。
その日の夕方、トイレから出てきた父がわめきたてます。


父はどうにも
あのアルミバケツが気に入らないといいます。
そもそも、隠そうとする姿勢が気に入らない上に、
バケツが貧乏くさいと言うのです。
(そのバケツだって、水を汲むためのバケツではなくて、
小物入れなどに使うおしゃれなバケツなんですが・・・)


母が色の調和を主張しますが
父はまったく聞く耳もちません。



「芳香剤は芳香剤なんだからそのままおいておけばいい」


何かもう理屈じゃないような気がしますが、
母も手馴れたもので、さっさとあきらめてバケツをしまいました。


ところ変わって本日東京は八王子。


久しぶりに早めに帰ってきた私が適当に夕飯を済ませて
漫画でも読もうと横になると、
同居している弟の部屋で口論開始。
時折聞こえてくるのは弟のどなり声と相手の女が泣きじゃくる声。


「泣くな!」


・・・と壁が薄いことを気にした弟が女に言い聞かせるあたり、
まめというかなんというか。
ただし、話している内容はきこえませんので、
どうしてもめているのかはまったくわかりません。
実は非常にまじめな問題を話していたのかもしれません。


が。


所詮犬も食わないのが痴話ケンカ。
考えるも面倒なので
トイレの芳香剤で言い争っているということにして
訪れた夕飯の満腹感と睡魔に身を任せ
私は深夜のアニメタイムまで一眠りするのでした。


睡魔の前では怒声も涙声も心地よい子守唄なのです。