メディア学部の紅髪は何を研究しているのか


正月のネタにかぎらず、自分のまわりに社会人が増えてくると、
修士課程とはいえ、学生でいることに関して少なからず思うことがあるわけで、
それはあるいは一種の「負い目」に感じていたりする部分もあるのですが、
けっして卑屈になっていることばかりというわけでもなく、
それは例えば、誰かに聞かれたときに、
自分の研究についてすぐに説明できるくらいのことはしておこうと、
考えをまとめておくきっかけになっていたりします。


最近ではだいぶ慣れて、
同じ「自分の研究」でも、3パターンくらいの説明バリエーションがあります。


①説明しても理解してもらえなさそうな人に対する説明のパターン


悪く言うつもりはないのですが、
いわゆる田舎でコンピュータに対する知識にうとい方や、年配の方には
悲しいかな、どれだけ説明しても分かってもらえないことがあるので、
一言で済ませます。


「パソコンを使った研究です」


嘘はついていません。
ありがちなのはそのあとに


「パソコンを使ってなにをしているの?」


・・・と聞かれることですが、


「プログラムとかシステムの開発です」


くりかえすようですが嘘はついていません。


後述する説明パターンからするとだいぶずれるのですが、
その違いを説明しても理解してもらえないことを
何度となく身内相手に話して経験しました。


その結果、このパターンでほぼ落ち着きます。
何のプログラムで、何のシステムなのかを問われることは
ほとんどないのです。



②学部の説明から入るパターン


文学部とか、化学部とかなら説明が要らなさそうなのですが、
私の通っているメディア学部というのは、
そういう分かりやすい部類の学部ではないので、
名前を言ったところでわからなことが多いです。


就職試験の面接でも、
もっとも問われることが多い質問なのですが、
ハッキリ言って教授ですら一言では答えられないので、
自分の研究に引っ掛けて説明するのがセオリーになっています。


「学部としては、プログラムやシステム面の開発を念頭に置いた「メディア技術」
企業や公的機関における機能整備や改善を模索する「環境メディア」
そして映像や音響の新手法を研究する「表現メディア」の三つから成り立っています。


私の研究は、その中でも3つ目にあげた、
表現メディアのなかで「脚本」についてです。
「脚本」はあらゆる制作において根本となるメディアです。」



「脚本を”メディア”ととらえていいのか」と思われる方がいるかもしれませんが、
相手は別に言葉の意義を議論したくて聞いてくるわけではないので
この流れでいくと、たいてい詳しい研究内容について聞かれるか、
まったく違う話題を振られるかのどちらかです。


③私の研究に興味を持った人に説明するパターン


説明らしい説明というのはこのパターンのみであるといっていいです。
幸か不幸か、そこまで興味を持って聞いてくる人はほとんどいません。
2つめのパターンの後か、親しい間柄の人で、すでに私の研究領域を知っている人程度です。


この場合、要は「脚本の何を研究しているのか」ということになります。


以前は聞いてくる人が少ない上に、親しい人ばかりだったこともあって、
事細かに説明していたのですが、
最近はそういう人にも出来るだけ簡潔に伝えようと思った結果、


「おもしろい脚本を効率的につくる研究」


・・・という一節に落ち着きつつあります。


以前は、基本的に一から脚本をつくるときのことを考えて研究していたのですが、
最近は一度書いた脚本を推敲することまで視野に入れるようになってきたので、
少し説明のニュアンスは違いますが、
実際、そこまで突っ込んだ質問をしてくるのは逐一近況を尋ねてくるくらい
親しい間柄の人に限られるので、そこは聞かれたら答える、程度の心づもりでいます。


今年は論文の発表なども積極的にしていくようになりそうですが、
こうしてみると、学会発表でもしないと自分の研究というのは
人に説明する機会がないのかもしれませんね。