5分先をゆく時計


紅髪宅の玄関には
時計がかけてあるのですが、
何故か5分進んでいます。


私は一年ぐらい前にその時計ががかけられた後、
3日以内には気付いていたのではないでしょうか。


ただ、問題はその時計を備え付けたのが誰なのか分からなかったことで、
しかしながら、それが自分ではないということだけは
間違いありません。


・・・つまりその時計は同居している弟がセットしたもので、
5分進んでいるのも「あえて5分進ませてある」ものだと、
容易に想像がつきました。


経験のある人がいると思うのですが、
わざと時計を早めにすることによって
余裕をもって出かけられるようにするわけです。


目覚まし時計などでもその発想は利用できるのですが、
慣れてしまうと「あと5分大丈夫」などという先入観で
2度寝する危険があるのでオススメできません。
おそらく弟はそれで部屋の時計ではなく
あえて玄関の時計をすすませたのでしょう。


・・・しかし!


一人暮らしならともかく、
同居する私は同じ玄関から外出するわけで、
正確な時間がわからないと困るときもあります。


弟と暮らし始めて一年以上たっているのですし、
もういいかげん自分の生活リズムを確立していていいはず。
そこで思い切って弟にもちかけてみました。


紅髪「玄関の時計、5分進んでいるんだけど直していいかな」


弟「俺も気になってたんだよ、何で5分進めたの?」


紅髪「進めたのはそっちでしょ?」


弟「ちがうよ、俺は正確な時間わかりにくくて困ってたんだよ」


・・・あれ?


じゃあいったい誰が・・・。


・・・。


・・・母だ!


しかも絶対、私が考えたような、
時間調整を目的に5分進めたわけじゃないです。


適当にセットしたにちがいないです。


そして私はそれを一年以上、
微妙にイライラしながら眺めていたことになります。
しかも、もっともらしい理由まで考えて。


・・・まったく馬鹿馬鹿しい!
すぐなおしました。