使い捨て


「使い捨て」ですよ「使い捨て」。


役者さんというのは
基本的に担当することになった役を
どう演じるか、色々と工夫なさるわけで、
それが実を結ぶと、その役がその人を代表する役として、
人気の火付けになり、認知度が急上昇します。
女優であれば「ヒロインを張る」といった感じです。


時として役がハマリすぎて、
他の役が似合わなくなってしまうという役者もいます。
近年の田村正和などは、
何をやらせても古畑任三郎に見える、とよく言われますが、
いい例かもしれません。


そんな中にあってキムタクのような存在を見ていると、
思うことがあります。


視聴率で結果を判断する放送業界において、
「キムタクが出ているというだけで見たくなる」
・・・といわれるだけのアピール力がある人がいることは、
とても頼もしいことだと思います。


しかし、人気のある女優・俳優は
なんらかの作品においてその魅力を世に知らしめたわけで、
いわば先に作品ありけり、でした。


ところが人気の沸騰によって、
「○○が出ているというだけで見たくなる」ということを
根拠にした作品を作った場合、
それはすなわち、先に人気ありけり、の形になります。


こうなると、アプローチとしては強いものがありますが
作品のつくりがどうしても甘くなります。


結果、作品がつまらないものであった場合、
さらに次の作品に出演することになったとき、
「○○が出ているから」という理由で
見に来る人は、減ってしまうでしょう。


日本は昔から、そんな傾向があります。
人気がある間にしぼるだけしぼって、
落ち着いてきたら別な人にのりかえる、という安易な発想。


「キムタクが出ているというだけで見たいと考えてもらえなくなったら
第2のキムタクを探して使えばいい」


・・・つまりは使い捨てです。


日本から世界レベルの役者が出てこないのは
こういった土壌によって、
芽を干からびさせてしまうからではなかろうか、と
ときどき思うのです。